igaigaの徒然読書ブログ

読んだ本の感想を気ままに書く読書ブログ。時々映画鑑賞。

「不審者」 伊岡瞬



不審者 伊岡瞬

「このささやかな幸せを守るためなら、何でもするー」会社員の夫・秀嗣、五歳の息子・洸太、義母の治子と都内に暮らす折尾里佳子は、主婦業のかたわら、フリーの校閲者として自宅で仕事をこなす日々を送っていた。ある日、秀嗣がサプライズで一人の客を家に招く。その人物は、二十年以上行方知れずだった、秀嗣の兄・優平だという。現在は起業家で独身だと語る優平に対し、息子本人だと信用しない治子の態度もあり、里佳子は不信感を募らせる。しかし、秀嗣の一存で優平を居候させることに。それ以降、里佳子の周囲では不可解な出来事が多発する。

イヤだよねー。
ダンナの家族とはいえ、私は他人ですが??

でもわたしにもそういう経験は実はありまして。
ダンナの弟が病気で実家に戻ってきて入院したり、家にいたりしてました。

ただ、その時は家族(ダンナと姑)が本当に私に気を使ってくれたので
それほどイヤな思いはなかったなぁーと。
そういう意味ではわたしは「リトル」(←里佳子の性格)ではない。

ただ、この優平の薄気味悪さっていうのは読んでてもヒシヒシと伝わってきて。
かなーーーりイライラしたところで、物語は急転します。

こういう話ってパターンみたいなのがあって「こうかな?」「こうかな?」と
思いながら読むんだけれどそうだったか・・・

真相が分かってもやっぱり優平は好きになれないなぁーと
思うのは変わらなかった。
〇〇だったら何してもいいのか!という気持ちね。

「煉獄の獅子たち」 深町秋生



煉獄の獅子たち 深町秋生

関東最大の暴力団・東鞘会で熾烈な跡目抗争が起きていた。死期の近い現会長・氏家必勝の実子・勝一と、台頭著しい会長代理の神津太一。勝一の子分である織内鉄は、神津の暗殺に動き出す。一方、ヤクザを心底憎む警視庁組対四課の我妻は、東鞘会を壊滅すべく非合法も厭わない捜査で東鞘会に迫るが…。地獄の犬たちに連なるクライム・サーガ第2幕。

地獄の犬たちを読んでないので分からないところもありますが、
どうも「前日譚」の話らしいのでこちらが先のようです。

基本的にはヤクザとヤクザみたいな警察との殺し合いの話。
救いはないよね。
道楽(?)として読むしかないんだけれど。
たまに読むのは好きです。
ちょっと疲れたけれど(笑)

この作家さんの特徴としては「この人はメインだろう」という
人が結構前半で姿を消します。
なので、読んでてもハラハラが止まらなかった。

東北弁というのはどうしてこうも朴訥で温かい印象を
与えるんだろう?
山形弁を喋る我妻刑事。
かなりの猛者でしたが、ノーラとの対決が一番面白かった。
一旦「敵」と思うと容赦ないんだなーと。

ただ、読み終わってもあまり救いはなくて。
こういう世界もなんなんだろうなーと思いました。

大腸検査をした話

先日、人生初の大腸検査に行ってきました。
気持ちは永遠の38歳ですが、実年齢は今年50(T_T)
この間49になったと思ったんだけれど。
迫りくる大台(T_T)

ダンナから40歳になったころからずっと大腸のお誘いを受けてまして。

なんせわたしは子宮は取ったし、胃にはポリープ沢山あるし、
胆嚢にもポリープあるポンコツ人間なので、大腸受けるとポリープ
ありそうだなーと思ってましたが、意を決して行ってきました!


まず、前の日に「検査食」というトータルで746キロカロリーの食事をします。



ぶっちゃけ足りません(T_T)
そうめん&うどんはOKらしいので、お昼のミネストローネのスープに
そうめんを1束茹でて入れて食べました。
それでも足りなかった(^-^;)
こういう検査食を食べるので検査は月曜日にしました。
日曜日に自宅でこれらを食べます。
(あと、会社だと無意識にチョコとか食べそうで)

下剤は1週間前から毎日飲まないといけません。
で、当日。

9時くらいから水薬みたいなポカリというかブルーベリー味の薬を
飲みます。2リットル入りだけどとりあえずは1リットルを水と一緒に飲む。
で、自分専用のトイレに行きます。

で、看護師さんに途中経過を見せる。
「いや・・・まだ見せられるものではありませんっ」と、
言うのだけれど、「途中も大事」と。
看護師さんですから慣れてるんだろうねー。

で、11時くらいになると私もお腹の中が綺麗になりまして。
ただ、午前中には間に合わなかったので午後からです。
ダンナは毎年、麻酔したかと思ったら寝てしまって
気づいたら処置室のリクライニングチェアにいた。というので
そういうものかと思ったんだけれど、私の番になり
注射の液を入れ、先生が登場して、お尻にゼリーを塗り・・・

「あれ?いつ寝るの??」

と、思ってたらカメラ注入!?
え??
え??
と、思ったものの、起きてるのでそのままモニター見てました。
痛くはなかったし、感覚もありませんでした。
目が悪いのであまり見えないんだけれど、なんとなく
「ポリープ無かったな」と。
そして、自分で車いすに乗り運ばれ、処置室へ。
リクライニングではなく、普通のベッドに行き、
少し眠りました。目を覚ましたらボタン押せと書いてたので
押しまして「起きていいか?」と聞くと、点滴残ってるから。
と。結局点滴が終わるまでそこから1時間くらいダラーっと
ベッドの上にいまして。

その後ダンナと合流。
「起きてたよ」と言うと、ダンナが驚いて。
(ダンナは今年も気絶したようで)
2人の間で何が違うのか??
でも、私と一緒に受けた高齢の女性も話しながら
処置室に来たので、起きてる人もいるんだなぁ。
わたしだけがおかしいワケではないことがわかりました。

結果として異常なし。

唯一の綺麗な臓器(T_T)
この臓器を大切にこの先もがんばりたいと。
ポンコツな体の私はしみじみ思うのでした(笑)

羊は安らかに草を食み 宇佐美まこと



羊は安らかに草を食み 宇佐美まこと

アイと富士子は、二十年来の友人・益恵を“最後の旅”に連れ出すことにした。それは、益恵がかつて暮らした土地を巡る旅。大津、松山、五島列島…満州からの引揚者だった益恵は、いかにして敗戦の苛酷を生き延び、今日の平穏を得たのか。彼女が隠しつづけてきた秘密とは?旅の果て、益恵がこれまで見せたことのない感情を露わにした時、老女たちの運命は急転するー。

認知症の年寄りを連れて行くのもまた年寄り。
読んでると「大丈夫?」なんて思うけれど、逆に同年代だからこその気配りがあるのかな。
若い人だとイライラしちゃうことも、老人だからこそできる。

そんな益恵を連れていくアイと富士子も各々に問題を抱えてて。
それでも今は益恵のために・・と、長崎や松山を旅行します。

途中途中で登場する益恵の少女時代のエピソード。
満州から11歳で一人生き残り、日本までたどり着く壮絶すぎる人生。
途中で知り合った同じ境遇の佳代と2人で生きていく。

これは全くのフィクションでもなく、実際に似たようなことはあったんだろう
と「参考文献」を見るとわかる。
戦争ってロクなものじゃないよね。と。
益恵の最初の夫も本当はこういう人じゃなかった。
でも、戦争が狂わせた。

益恵の「最後の旅」に同行したアイと富士子も益恵の人生を垣間見ることが
出来て気持ちをあらたに。

これは読んだ後もいろいろと考え込んでしまう1冊でした。

「修羅の家」 我孫子武丸



修羅の家 我孫子武丸

簡易宿泊所で暮らす晴男はレイプ現場を中年女性・優子に目撃され、彼女の家につれていかれる。そこには同じ格好をした十名ほどが「家族」として暮らしていた。おぞましい儀式を経て一員となった晴男は、居住者は優子に虐待されていることを知る。一方、区役所で働く北島は、中学時代の初恋相手だった愛香と再会し「家族」での窮状をきく。北島は愛香を救い出す可能性を探るが、“悪魔”が立ちはだかる。


『殺戮にいたる病』を凌ぐ驚愕作!

・・・と、本の帯に書いているワケなんですよ。
殺戮にいたる病っていうのは我孫子さんの超名作で、グロくて最悪なんだけれど
かなり面白かった1冊。
こんなこと書いているとどうしても期待値が・・・

実際に読んでみると、現実に遭った事件を思い出します。
北九州だっけ? こんなことが現実でもあったんだよなと思うと
この先を読み進めるのも辛いところがありましたが、
「殺戮にいたる病」以上ですから!と、思い読み進めます。

そうすると・・・北島・・・すごいなぁ。
やることが(笑)
極端というか、30万円もするアレ買って、ちょっと小芝居して・・・
何というか・・言葉が見つからない。
もっとうまくやる方法はなかったのか?
なんて思いましたが、ラストが好みではなくて。
もう少し「あぁースッキリした。ザマァ!!」と思って本を
閉じたかったというのが感想です。

「紙鑑定士の事件ファイル模型の家の殺人」 歌田年



紙鑑定士の事件ファイル模型の家の殺人 歌田年

どんな紙でも見分けられる男・渡部が営む紙鑑定事務所。ある日そこに「紙鑑定」を「神探偵」と勘違いした女性が、彼氏の浮気調査をしてほしいと訪ねてくる。手がかりはプラモデルの写真一枚だけ。ダメ元で調査を始めた渡部は、伝説のプラモデル造形家・土生井と出会い、意外な真相にたどり着く。さらに翌々日、行方不明の妹を捜す女性が、妹の部屋にあったジオラマを持って渡部を訪ねてくる。土生井とともに調査を始めた渡部は、それが恐ろしい大量殺人計画を示唆していることを知りー。第18回『このミステリーがすごい!』大賞大賞受賞作。

主人公が「紙鑑定士」である必要はあるのだろうか??
と、思いながら読みました。

途中で「紙」に関しての主人公の蘊蓄みたいなのが登場
するんだけれど「それは本編に必要だろうか?」なんて思ったり。

それが「ない」ほうが読む分にはスッキリしたような。

読書メーターにもありましたが、結構ご都合主義で(^^;)
偶然の賜物というかなんというか。
グーグルのストリートビューに写っていた犯人の車とか(爆)
逆にどんな確率なんだ!?

土生井と晴子はもしかしたら?と、思ったら、思っていたとおりの
展開になりまして。なんでか?わたしは絶対ナイなぁと
思うものの、人と言うのは分からない。

でもって、「この本ってシリーズの何作目か?」と聞きたくなるような
主人公渡部と真理子の関係。
真理子の乗っている車は007みたいでカッコよかったけれど、
法律的にはアウトみたいです(^-^;)

まぁ・・普通はこういう解決の仕方ないだろうなと思いましたが、
「このミス」なのでなんでもありかな?

「坂の上の赤い屋根」 真梨幸子



坂の上の赤い屋根 真梨幸子

人格者と評判も高かった夫婦が、身体中を切り刻まれコンクリート詰めにされ埋められた。血を分けた娘と、その恋人によって…。その残虐性から世間を震撼させた『文京区両親強盗殺人事件』から18年後。事件をモチーフにした小説が週刊誌で連載されることになる。そこで明らかになる衝撃の真実とは!?極上のイヤミス長篇。

普通に面白かったです。
こういう内容で「普通に面白い」というと、人間性疑われるかもしれませんが。

真梨作品というのは、結構「狭い世界」でいつも繰り広げられてて
あの人がこっちで繋がってて、でもこっちの人は・・・
という感じで人物相関図書いて読みたかったな。
て、いう作品が多いのですが、今回はそうでもなく楽しめました。

イヤミスではあるものの、そこもまた読みやすく。
好みの1冊です。
こういうの「好み」と書くと人間性がおかしいと思われるか(^^;)
あくまでも「作り物」だからねー。
なので楽しいんです。

今回もあっさり殺人が起きたりしてますが、
実際にはそうそうないと思うんだけど。
羊羹切るような包丁で・・・ねぇ。
そういう嘘くささがまた好き。

「バイター」 五十嵐貴久



バイター 五十嵐貴久

伊豆半島沖の大川豆島で前触れもなく発生したウイルス感染症。罹患者は人の血肉を求める凶暴な存在と化す。政府はそれを「バイター」と命名。相澤総理大臣の娘・彩香は、不運にも部活動の合宿で島を訪れていた。一人、また一人とバイターに喰い殺されていく教師や友人たち。混迷が深まる中、自衛隊と警察の混成チーム「ブラッド・セブン」が結成される。彼らに課せられた総理からの特命は「彩香の救出」だったー。「バイターは人間じゃない。奴らは死人だ。危険を感じたら、容赦なく撃て」。稀代のエンタメ作家が放つサバイバル・バトル小説!

パニックホラーです。
こういう本のラストって変な話「なんでもあり」だと思うのです。
だから、予想つかなくて。
っていうか、予想しながら読むんだけど、かなり斜め上だった(笑)

まさか・・・こうくるとはーーー!!!

笑ったけど。
「こう来たか!!」

全く予想してなくて。
予想してたのはラスト前にどんどんと起きて・・・
で、予想しなかった展開に。

ヒドイね(^^;)

総理の娘の相澤彩香が一番冷静でまともだった。
総理大臣が身勝手で、自分の娘ひとり助けるために
ブラッド・セブンを作ったりしてる中で、まぁそれを
知らないにしても冷静だったなーと。

個人的に予想を裏切ったラストだったので満足です。
五十嵐さんのホラーは面白いね。リカにしろ展開が
予想できない(・∀・)

「月下美人を待つ庭で 猫丸先輩の妄言」 倉知淳



月下美人を待つ庭で 猫丸先輩の妄言 倉知淳

猫丸という風変わりな名前の“先輩”は、妙な愛嬌と人柄のよさで、愉快なことには猫のごとき目聡さで首をつっこむ。そして、どうにも理屈の通らない出来事も彼にかかれば、ああだこうだと話すうちにあっという間に解き明かされていくから不思議だ。悪気なさそうな侵入者たちをめぐる推理が温かな読後感を残す表題作や、電光看板に貼りつけられた不規則な文字列が謎を呼ぶ「ねこちゃんパズル」など、五つの短編を収める。日常に潜む不可思議な謎を、軽妙な会話と推理で解き明かす連作短編集。

【目次】(「BOOK」データベースより)
ねこちゃんパズル/恐怖の一枚/ついているきみへ/海の勇者/月下美人を待つ庭で


15年ぶりの新刊だってー。猫丸先輩。
永遠の30代(笑)
時代がIT化になってもどこ吹く風。
相変わらず猫丸先輩は猫丸先輩です。

しかし、愛煙家ではあったようですが、時代とともにタバコは咥えるだけになりました。
火はつけません。

「恐怖の一枚」と「ついているきみへ」は面白かったなぁ。
今回はハッキリと事件を解決するスタイルではなくて、
他の人が話をしているのを近くで聞いていた猫丸先輩が
話しに加わって謎を解決します。

しかし・・・表題作・・・そういうこともあるのか???
猪苗代さんの話は怖すぎますが、そういうことも
ありそうな今の世の中。

久々の猫丸先輩の新作に嬉しくなったので、過去作品も再読しよう。

「比例区は『悪魔』と書くのだ、人間ども」 藤崎翔



比例区は「悪魔」と書くのだ、人間ども 藤崎翔

サタン橋爪率いる「悪魔党」。奇抜なメイクと高飛車な言動で耳目を集めるイロモノ候補かと思いきや、意外と真っ当な政権公約に次第に人気を集め、見事4人が比例区当選を果たす。やがて世界中に「悪魔運動」を起こすほどの影響力を持つようになるのだがー(表題作)。幽霊歴75年、心霊写真に長年写り込んできた柳田勇だが、昨今の画像編集技術の向上で心霊写真の信ぴょう性が薄れてしまい、怖がらなくなった現代人を再び恐怖させる方法を模索している。新たな仲間の幽霊を募り、ユーチューブやニュース映像に映り込もうと画策するがー(「心霊昨今」)。元お笑い芸人の著者ならではの特盛ネタ!次々繰り出すあの手この手の短編&ショートショート全12編。

【目次】
日本今ばなし 金の斧銀の斧/貴様/一気にドーン/マッチングサイト/伝説のピッチャー/シンデレラ・アップデート/心霊昨今/未来の芸能界/比例区は「悪魔」と書くのだ、人間ども/宇宙人用官能小説/三十年後の俺/AI作


表題作はやっぱり面白いよね。
表紙もだけれど、内容からもどうしても「アノ人」たちを思い出してしまって。
パクリ??パクリなのか?と、思ってたらオチがあった。
オチ付きの話かー!!!

オチといえば、「三十年後の俺」もユニークなオチがついてて笑いました。
「伝説のピッチャー」もこういう事ってあるよね。うん。うん。と思いながら
読みましたが、オチはちょっと辛い(;・∀・)
「未来の芸能界」も、未来と言いながらも、モロ今の話でしたよ。
これはシュールすぎるww

短編でしたので気楽に読めました。
しかし・・・悪魔が総理大臣になる話・・・
どうですか??(笑)